Ballet of the evening

教養モテ学「バレエの夕べ」

教養モテ学「ベレエの夕べ」

第二回 ジゼル Date:'16.07.01 文責/長谷川友美


6月という事で結婚に纏わる話
悲しいお話ではありますがロマンティックバレエの代表作、ジゼル(Giselle )2幕を紹介します。

初演は1841年フランス
ドイツの詩人ハインリヒ・ハイネによって紹介されたオーストリア地方の伝説「夜中に森に迷い込んできた男性を死ぬまで踊らせる」という着想を得て作られました。

作曲 アドルフ・アダン

主な登場人物


ジゼル :身体が弱い村娘
アルブレヒト:貴族
ヒラリオン:ジゼルに好意を抱いている青年
ミルタ:ウィリーの女王
ウィリー:結婚を目前に亡くなった娘達の精霊

■Act1
ジゼルは、身体は弱いが踊り好きな娘だった。アルブレヒトは貴族である身分を隠し、名をロイスと偽って彼女に近づく。二人は想いを通わせるが、ジゼルに恋する村の青年ヒラリオンには面白くない。彼はアルブレヒトが普段の衣装や剣をしまう小屋を見つけ、村の青年ではないことを見抜く。

ジゼルの村に貴族が狩の途中に立ち寄ると言う。それはアルブレヒトの婚約者バチルダだった。ヒラリオンはアルブレヒトの剣を持ち出し、ジゼルの前に婚約者バチルダと公爵を連れて、その身分を暴いてしまう。もはや言い逃れのできないアルブレヒトは、婚約者バチルダの手にキスをする。 それを見たジゼルは気が動転し、髪を振り乱して錯乱し、母の腕の中で息絶えてしまう。

■Act II
森の沼のほとりの墓場。ここは結婚を前に亡くなった娘の精霊・ウィリーたちが集まる場所。ここではウィリーたちが夜中に迷い込んできた男を死ぬまで踊らせるのである。 ジゼルはウィリーの女王ミルタによってウィリーの仲間に迎え入れられる。

ジゼルの墓に許しを請いにやってきたヒラリオンはウィリーたちに捕らえられ命乞いをするが、女王ミルタは冷たく突き放し死の沼に突き落とす。

ウィリーたちがヒラリオンを追う間、ジゼルを失った悲しみと悔恨にくれるアルブレヒトが彼女の墓を訪れ、亡霊となったジゼルと再会する。

精霊ウィリーに捕らえられるアルブレヒト
アルブレヒトの命乞いをするジゼル


だがミルタはアルブレヒトをも捕らえ死に追いやろうとする。アルブレヒトが最後の力を振り絞り踊るとき、朝の鐘が鳴り、ウィリーたちは墓に戻っていく。 ジゼルは朝の光を浴び、アルブレヒトに別れをつげて消えていく。

☆Act1の見どころ
背景はドイツの葡萄栽培の農村です。村の楽しい雰囲気を感じて下さい。
ペザント・パ・ド・ドゥ (Peasant Pas de Deux) ペザントは農民という意味
パ・ド・シス (Pas de six) ジゼルの友人の踊り シスは6人

また何と言っても1幕の終盤、裏切られたショックで狂乱し息絶えるジゼルが見どころです。演技力の見せ場であり今までの楽しい空気から一転します。

☆Act2の見どころ
森の中ということで1幕と対照的になっており、ここに出てくる女性全員がこの世のものではない幻想的なシーンとなります。

ミルタ率いるウィリーたちのコール・ド・バレエ
ドゥ・ウィリー (deux wilis)2人のウィリーという意味。ウィリーたちの中でのソリスト
特に美しい見せ場は、アラベスクのままウィリーどうしが交差する場面。揃っている美しさから必ず拍手が起こります。
ウィリーに追い込まれるヒラリオンの演技にも注目

そして、やはりジゼルとアルブレヒトの踊り
芸術的な部分とテクニックの両方を要求されるパドドゥになります。
とにかくジャンプが多いにもかかわらず、ジゼルは霊なのでトウの音もせず、本当に軽やかに見せなければならず、非常に難しい踊りです。
是非実際に見て頂きたいと思います。

あらすじは世界の民謡
童謡 http://www.worldfolksong.com/ballet/giselle.htm


第一回 ドン・キホーテ Date:'16.05.25 文責/長谷川友美


ルネサンスのイタリア。
メディチ家の庇護のもと、オペラの一部分として舞踊が楽しまれるようになり、その後ヨーロッパからロシアまで広がりを見せたバレエ。 高貴な方々のたしなみだったバレエですが、大人の貴方も教養の一つとして語れたら素敵ですね。

シンプルに物語や表現を楽しむことができるクラシックバレエ。

第一回目は、

ドン・キホーテ (Don Quixote) 3幕 音楽 レオン・ミンクス
スペインの作家 セルバンテスの小説からです。

主な登場人物
ドン・キホーテ
サンチョパンサ…ドン・キホーテの従者
キトリ…宿屋の娘
バジル…床屋の息子


プロローグ
騎士物語を読みふけるドン・キホーテは次第に現実と空想の境目がなくなり、サンチョ・パンサを従者に、物語の中に出てきたドルシネア姫に会いに旅に出る。

第1幕
舞台はスペインの町。バジルとキトリは愛し合っているが、父親はキトリを金持ちのガマーシュと結婚させたい為、二人の仲を許してくれない。 闘牛士達も現れ、活気づく街に突然風変わりな風貌のドン・キホーテが現れる。ドン・キホーテはキトリをドルシネア姫だと思い込んでしまう…。

注目
・キトリの表情です。怒ったり、楽しんだり、小馬鹿にしたりとコロコロ変わります。
・闘牛士達と踊り子の登場の仕方 曲調が変わるので一瞬でここだ!と分かると思います。
闘牛士達の事をトレアドール(toreador),マタドール(matador)とかで表記されている事が多いです。闘牛士の花形役がエスパーダ

第2幕
騒動の合間にバジルとキトリは駆け落ちし、ロマの宿営地に辿り着く。二人を追いかけてドン・キホーテ達もやってくる。
ロマたちによる人形劇がはじまるが、ドン・キホーテは人形劇に登場する悪者を敵と勘違いし、仕舞には風車を巨大な敵だと思い突撃し、意識を失う。意識を失ったドン・キホーテは夢の中でドルシネア姫に会う。 夢から覚め舞台は居酒屋にうつる。 どうしても結婚を認めないキトリの父に対し、バジルは狂言自殺をし、その演技に騙され父親は結婚を認めてしまう。

注目
・ジプシーのダンス 女性が踊る場合と男性が踊る場合があります。
・ドン・キホーテの夢の景 キューピッドや森の女王ドルシネア姫が登場し、とても幻想的な場面になっています。またコール・ド・バレエ(corps de ballet)といって群舞のみせばでもあります。
・狂言自殺のコミカルなお芝居にも注目してくださいダンサーさんによって表現の仕方が異なります。

第3幕
キトリとバジルの結婚式の場面となります。
注目はキトリとバジルのグランパドドゥ(grand pas de deux)

ドン・キホーテは1幕から賑やかで観ていて本当に楽しくなると思います。
ダイナミックな振り付けやリフトがたくさん組み込まれていて、主役の2人の他にも闘牛士やジプシーにも是非注目してみて下さい。 難しく考えず音楽とパフォーマンスを生で楽しんで見て下さい。

■動画「3分でわかる!バレエ『ドン・キホーテ』|新国立劇場バレエ団」 https://m.youtube.com/watch?v=-I9CgUkJxKM